「あ、そうそう舞美ちゃん、『E−1』のことだけど、もう開催中だから」
「…へっ?いーわん?なにそれ」
気を取り直して立ち上がった舞美は、栞菜に怪訝な顔をして尋ねた。すでに忘れている
であろう事を予期していた栞菜は、よどみなく説明を始めた。
E−1。エロティシズムナンバーワン!
人を天国の領域に連れて行くことができるにも関わらず、自らはエクスタシーを感じる
ことができない少女、嗣永桃子。彼女と交わる権利を争って行われる、ベリキューで
一番エロく、セックスの能力に秀でた者を探し出す戦いである。
「まぁ地下格闘技戦をみんなでやると、で、桃子ちゃんが範馬勇次郎みたいなもんね」
残念ながら舞美はバキのことはわからなかったが、とにかくみんなの中で一番の性的
テクニシャンを決める争いであることは理解した。栞菜は説明を続ける。
…ここで時間を少し戻す。
全員が集合し、最後の調整が始まる直前の楽屋。遅刻している舞美を除く全員が、片方
の部屋に集合していた。
「…ん、よし、外れたよ」
カチッと音がして、手錠の留め金が取れる。手首から金属の輪を抜く二人。
「うわっ!すごーい、桃ちゃんっ」
「なんでカギ開けなんてできんの?まさかそれで…」
何か言いかけたが、さすがにシャレにならないと思い、口をつぐんだ佐紀だった。
「ねえ!みんな、ちょっと聞いてくれる!?」
パン!パン!と手を叩いて、皆の注目を集める栞菜。12人の瞳が彼女に注がれた。
キュートに対してはともかく、ベリーズ工房には少し遠慮のある栞菜が、このような
目立つ事をするのは珍しい。
「…あのさ、ぶっちゃけさ、ここ数ヶ月で、うちら、すごいエロいコトばっかり
やってるよね?普通の中学生じゃ、そこまでしないだろってことをさ…」
一気に、ざわつく室内。お互いが苦笑しあったり、アイコンタクトを取り合ったり。
桃子だけがいつもと変わらず、端の椅子で腕を組んで悠然としている。栞菜は、手で
静まるようにジェスチャーをした。一呼吸置いて、話し始める。
「天国に行く方法が、あるかもしれない」
えっ?何?なんのこと?…そのような視線が注がれるのを確認し、続ける。
「いや、妙な顔をしないでよ…ここで言う天国ってのは、死後の世界とかそういうん
じゃ無くて、エロスの行き着くところってことさ。みんな、エッチなことして、すごい
絶頂を味わったことあるでしょ?オナニーとか、セックスでさ」
「…な、何の話してんのよ?コンサートの前に!」
みやびが、赤い顔をして立ち上がった。キョトンとした顔のマイ、すまし顔の梨沙子、
じっと耳を傾けている友理奈、それぞれが、それぞれのエピソードを思い出しながら
聞いている。
「みやびちゃん、いいから聞いて。しばらくの間、ツアー中は、みんな顔を合わせる
ことや一緒に泊まることが多くなるから、今宣言したいの。それに、みやびちゃん
だって、誰かさんとエッチしたことあるでしょ?で、もっともっと、気持ちよくなり
たいって思ったでしょ?どうなの?」
「そ、そ、そんな…、コト…」
チラリと友理奈を見たみやび。だが当の彼女は、冷静に栞菜を見据えていた。
「この中の何人かは知ってることだけど、…桃子ちゃんは特異体質なんです。自分
でも知らぬうちに、エッチした相手を狂わせるほどに物凄い快感をあじあわせて
しまうという魔法の身体。でも、自分は中々気持ち良くなれないという悲しい身体でも
あります」
何人かが、桃子を見る。事前にこの話をすることを栞菜から聞いていたのか、当人は
全く平然とした様子だった。栞菜は続けた。
「そこであたし達の間で、一番エッチが上手な人を決めて、その子の力で彼女に
新しい気持ち良さを与えてあげたいと思うの。で、たぶん、さっき言った『天国』
だけど、究極の二人がぶつかり合ったとき、その域に入ることができる…」
ガタッ!椅子が悲鳴を上げた。
「なんで、そんなことしなきゃ行けないの!?別に、桃子としたくないし…」
茉麻がしかめっつらで異を唱えた。それに愛理が、続いた。
「戦い…っていうけど、そんなの、試合とかにするようなことじゃないでしょ」
それに頷いて、千聖が続けた。
「勝ち負けってどうすんのさ…まさかイッたら負け、って言うんじゃ?」
「はい、色々考えました。ルールに関しては、この一ヶ月、かなり考えました!
考えすぎて、私、先生がオナニーも忘れるほど…」
「なんかリアルな話だねぇ」
栞菜が示した『E−1』ルールは以下の通りである。
・時と場所は対戦する本人同士が決めること。一対一には限定しない。その場の
当人同士が『E−1』であると認めたときが試合開始となる。
・基本的には相手にエクスタシーを与え、先に絶頂に持ち込んだら勝ちとなる。
ただしその判定は、イッた当人の自己申告を優先とする。
・両者が認めるならば、どちらかが体力が尽きるまで行うサドンデスもありとする。
・負けを認めたものは自らその旨を、栞菜にメールすること。
・一度でも負けたものは、E−1への参加資格を失う。勝者が最後の一人になるまで
このフェスティバルは続くとする。勝者のみが桃子への挑戦権を得る。
千聖は目を丸くして、壁に貼られたルール表を見た。
「手が込んでるなぁ…、なるほど、ボクや熊井ちゃんにも不利にならないように
なってるんだね」
「熊井ちゃんはそうでもないけど、千聖は早漏だからこうしたの」
栞菜は口元に皮肉な笑みを浮かべた。真っ赤になって焦る千聖。マイが睨んだ。
「ちょ!ちょっとそれってどういう意味!千聖あんた今でも…」
「ご、誤解だよ!マイちゃん!ぼくの相手は君と右手だけさ!」
「…えっ、梨沙子はいらない子なの?そうなの?詳しく聞かせて?」
各人同士が色目を使いあい、はたまた嫉妬の炎が燃え上がり、少女達の喚声が激しさを
増して行く…。
ふたたび、その2時間後の舞美と栞菜に、場面を戻そう。
「…というわけ、だからもう始まってるの。どう舞美ちゃん、あたしと戦ってみる?」
「えー、あんたは強そうだからなぁ。最初に悟空に喧嘩を挑むようなもんじゃない」
ドラゴンボールくらいは知っている舞美だった。
「ふふっ、そこまで言うかなー。ま、でもほんとに強いのはあたしじゃなく別に…」
言葉を濁して、背伸びをする栞菜。舞美はステージに視線を向け、言った。
「さて…とりあえずまだ本番まで時間があるから、着替えないとね」
ふと、その表情がこわばる。
「あ、ああ!そうだアレ、置きっぱなしだった!」
「どしたの?舞美ちゃん」
「ごめん、ちょっと楽屋行ってくる!練習はあとでするからって伝えておいて」
他のメンバーの「舞美おはよー」の挨拶も無視し、スタッフを跳ね飛ばし、ダダダダと
階段を駆け上がり、再び先ほどの楽屋の前にたどり着いた。
(ま、まさかあの袋、開けて無いでしょうねぇ…)
ゴクリ…。つばを飲み込み、ドアノブに手をかける。そっとひねって、中を覗き込んだ。
しゃがみこんでいる友理奈、その横に誰かが倒れている。舞美は、静かに扉を開けて
中に入った。振り返る友理奈。
「あっ、舞美ちゃん!」
「…茉麻?えっ、まさか…気絶してんの…?」
「うん、…というか、舞美ちゃん、なに考えてんの、あの…タッパーさぁ」
開けたのか、クソっ!…いや糞だけど。
人のモノを勝手に開けてはいけないって教わらなかったのか!
そう真っ当な常識を説いて怒りたいところだが、常識からはるか5マイルほど外れた
モノを入れていたのが負い目になって、舞美はただ汗顔の至りだった。
その危険物は再び紙袋に入れられて、さすがにテーブルの上ではなく、部屋の隅に置か
れていた。かすかに誰かがうんこをした後の、便所の個室のような匂いが漂っている。
「あれ見て、茉麻、声も立てずに倒れちゃったんだよ。よっぽど前の件が効いていた
んだねえ…ねえしっかりしてよ茉麻…」
顔面にウンコ、しかも人間のモノなんて、そんな経験はよほど特殊な職業でもない限り
生涯あることではないだろう。そんな事は小説や映像の世界だけでいい。
「…う、うう…、うが、うご、うご、る…るーが…」
「あっ、気が付いた。茉麻、大丈夫?頭打ってない?」
「えーと、茉麻、大丈夫?カナ☆、とか言って…」
身を起こした茉麻は、傍らの友理奈を見、ついで舞美に視線を移した。
目をぱちくりさせると、カッと、怒気をあらわに、立ち上がる。
「舞美…あんた、一体、何を考えてるのよ!あんた、あんた、もぉぉぉ許さんッ!」
「あ、あのね、あれは色々と事情が…ひぇぇぇぇ!」
茉麻はタックルするように、両腕を掲げながら、猛烈な突進をかました。直前でヒラリ
とかわす舞美。後ずさりながら言い訳を続けようとするが、茉麻はすぐさま方向転換し
意外なほどの身軽さで、ショルダーアタックをかけた。
「くらえ!蒙古覇極道ォォォォッ!」
「うごォッ!!」
北斗の拳の再ブームなど知るよしも無い舞美は、茉麻の体重が存分に乗った体当たりを
受け壁に激突する。跳ね返った身体へ、ラリアットでカウンターを狙ったが、寸前で
その腕を受け止める舞美。ニヤリと笑った。
「ボディががら空きだよッ!」
茉麻の左拳が、彼女の右わき腹を打ち据えた。激痛に顔をしかめながらも、舞美は
両腕を手放さずそのまま身体ごとぶつけて、茉麻をよろめかせた。
「ちょっと、ちょっと、ヒーン…喧嘩はやめて!二人とも!ライブの前なのに!」
その二人よりもよほど身長が高い友理奈だったが、戦闘は体格だけで決まるものでは
ない。特に喧嘩は、精神的なものがかなりの割合を占める。友理奈は短気ではあった
が、それがコブシに結びつくような性格ではなかった。
茉麻の体重と迫力に押されて、防戦一方となる舞美。それなりに止めてはいたものの
幾度ものパンチが彼女を襲う。
友理奈が、救いを呼びにドアに向き直ったその時、扉が開いた。
「んぁ?何喧嘩してんの?どしたの?」
「栞菜…、ちょっと誰か呼んできて!あの二人止められないよっ!」
後ろ手でドアを閉めた栞菜は、そのままもつれ合う二人に近づく。驚く友理奈。
「ちょ、巻き込まれたら怪我しちゃうよ!」
茉麻の背後に寄った栞菜。おもむろに背中から抱きついた。
「わぁっ!…な、なんだ栞菜かよ!やめて、邪魔しないでっ!こいつが悪い!」
「そう言われても、やっぱ喧嘩は良くないよ。平和に、気持ちよくね…」
「あ、ああん、やっやだっ…ああっ!」
突如、首をのけぞらせて悶える茉麻。栞菜の両手は、彼女の胸のふくらみをしっかり
と掴んでいた。いつのまにかTシャツの中に入り込み、スポーツブラの内部へと
電光石火のスピードで侵略を始めている。痴漢常習者も驚嘆するテクニックだ。
「すごっ、茉麻ちゃんの胸、パンパンに張ってる。あたしも結構大きいと思って
たけど、こりゃー負けてるな、うん」
「こ、こらぁ…、揉まないでよぉ…、あんっ、駄目、先っちょは…」
栞菜の指先が、茉麻の乳首の根元を、キュッとつまんだ。
じゅわ…、っと先端から分泌される白っぽい液体。ブラの生地に吸い込まれる。
汗ばんだ手を引き抜き、指先を鼻に近づける栞菜。目が輝いた。
「うわっ、これ、魔法の母乳!これがそうかぁ…すごい!茉麻ちゃんすごい!」
「やだ、やだ、ちょっと…匂い嗅がないで、恥ずかしいから…って、うぉぉ!?」
壁に背を付けたまま、その光景を見ていた舞美の前で、茉麻の姿が視界から消えた。
一瞬の早業であった。茉麻に「ヒザかっくん」をして、よろめいたところへ、足払い。
そのまま仰向けに倒れる茉麻の、首と背中を支えつつ、寝技に持ち込む栞菜。
何か合気道でもやっているのだろうか?こいつに喧嘩は売れない。
「ねえ、茉麻。これ『E−1』にしない?第一試合ってことで…」
「な、何言ってんのよ!あたしはあんたを舐めたりイカせたりしたくない…」
「茉麻は喧嘩でいいよ。あたしをフォールしてねじ伏せることができたら、熊井ちゃんが
久しぶりにセックスしてくれるって」
「えっ!あたし?…あ、そ、それはいいけど…って、…いいのかな?」
舞美と茉麻、二人の表情を見て視線を泳がせるコウモリ友理奈。そのうち卑怯者の
藤木君と呼ばれることだろう…。
「その話乗った!栞菜、悪いけど、カラダが違うからね、怪我はさせないから」
「オッケー、じゃあ、茉麻ちゃん。イカせてあげるっ!」
茉麻は太い両腕を伸ばし、栞菜を肩を掴んだ。クルリと1回転し、茉麻の影に栞菜が
隠れる。そのまま、体重をかけ、押さえ込めばあっさり茉麻の勝利だ。
「あっ、ああっ!やだっ…ちょっとぉ!」
いつの間にか靴を脱いでいた栞菜のつま先が、茉麻の秘部に挿し込まれていた。
さながら経絡秘孔を突いたように、もっとも敏感な部分を、的確に捉えたのであろう。
太腿を堅く閉じてその足を防ごうとした隙に、栞菜の両手は彼女のTシャツにかかり
瞬間スポーツブラもろとも、茉麻の上半身をはだけさせる。ぶるんと震える乳房。
栞菜の両足が茉麻の腰を抱きかかえ、右手で勢いをつけて半回転。
再びマウントを取った栞菜は、躊躇せず顔を近づけ、右の乳首に吸い付いた。
「うはっ!あっ、あっ、そんな強く吸わないでぇ!」
じゅるっ、じゅじゅじゅ…、んぐっ、んぐっと母性のエキスを吸いたてる栞菜。
彼女の右手は、空いているもう片方のおっぱいを優しく、しかしピアニストのような
変幻自在の指先で愛撫し続けている。栞菜は乳首から唇を離し、茉麻にささやいた。
「ママの、ママのおっぱいおいひいよ…、もっと出して、パンパンだよ、ほらここ」
「ああん!だめ、だめよっ、噴き出しちゃうから…ママのおちちで、汚れちゃう」
「ううん、とってもおいひい…、ママエッチだね、ここも…お汁でてるぅ」
すでに茉麻の下半身に移動している栞菜の手。ジャージの隙間から、下腹部へと
滑り込ませ、密集している陰毛を掻き分けた。ムッチリとした太腿のはざまでは
熱い体液の流出がすでに起きている。堅くしこった陰核を指の根元で転がした。
「ママ、ここにも乳首がある…ねえ、お乳出る?ここからもでるのかなぁ?」
「あ、ああん、やだ、やめて、ふっふうっ!んんんっ!」
上気した顔で見つめる友理奈。明らかに股間をバキバキに膨らませている。
一方舞美は、比較的冷静に、その対決を観察していた。
(栞菜…すごい、全く無駄がない!舌戯、言葉攻め、指使い、全てが一流。茉麻が
力を入れて抵抗しようとする部分に、的確に対応して無力化している…恐ろしい)
「ママのお乳、もっと出して、もっと、すごく濃いっ!あそこからもネバネバっ…
いっぱい出してるっ、いやらしいよ、ママっ!」
「あ、あ、あう、やぁ、はあっ、はぁ、はうぅ!うっ、ううううっ…ううんっ!ん!」
ジャージを履いたまま、股間に手を突っ込まれた茉麻。足をピーンと伸ばし、ピクピク
と痙攣した。勝負あった。指先のベトつきをティッシュで拭き、立ち上がる栞菜。
「とりあえずあたしの勝ち、ってことでいいよね、茉麻ちゃん」
「…はい、いいですぅ、負けましたぁ…はぁ、はぁ…」
「うん、素直でよろしい。熊井ちゃん、ごほうびに一発、してあげれば?」
…えっ?
意外な申し出に、驚きの表情で栞菜を見やる友理奈。確か、茉麻が勝ったら…という
話だったはずだが。
「ま、あれは茉麻ちゃんのやる気を出すためにね…、というか熊井ちゃん、それ
抜いておかないと、ライブどころじゃないでしょ〜フフっ」
友理奈は赤面した。今しがたの光景を見て、すっかりやる気になってしまった愚息が
短パンの中で苦悶の叫びをあげているのだ。舞美を見ると、肩をすくめてアゴを
しゃくっている。お好きにどうぞ、とのことか。それもちょっと冷たい気が…。
だが、茉麻の傍らに膝をついた友理奈。覆いかぶさるようにして、茉麻の身体を
背後から起こした。片手で腰のジャージを下ろすと、反り返ったペニスがブルンと
震えて、露出する。カリ首の周りは我慢汁まみれで、すでにベトベトだった。
「ねえ…、茉麻、するよ…、しちゃうよ、も、もう出そうなんだもん…」
「えっ、駄目、駄目だって…こんなところで…あ、こらぁ…ふ、ふぁっ!」
後背位で手を伸ばし、茉麻の乳房を揉みしだく友理奈。ヒップだけを剥き出しにした
彼女を抱えると、右手を陰茎に添えて、腰を突き出した。熱く柔らかな弁が、亀頭を
包み込む。
「はぁっ……あ、あ、あ、ああっ、あああん!」
猛然と腰を降り始めた友理奈の視界の端で、静かに去っていく二人。
桃色のツアーはまだ、始まったばかりだった。
(つづく)
- 2008/05/01(木) 01:25:35|
- 41話〜|
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